2008年2月8日金曜日

『太平寰宇記』~通行版本の残巻を補った、ほぼ完全な整理校点本~


『太平寰宇記1-9(中国古代地理総志叢刊)』
 〔宋〕樂史撰・王文楚等点校 中華書局 2007年11月刊 19,950円

五代統一後、宋・太宗の代・太平興国年間(976-984)に編纂された《太平寰宇記》は現存最古の地理総志とされ全二百巻。宋の統一地域および四夷の事情を豊富に記載した地理書として知られる。
過去に同じ中華書局より影印本が刊行されているが整理校点本は今回初めての出版。通行版本とされる金陵書局本に欠けた残巻を補ったほぼ完全な内容となっている。《太平寰宇記》は宋初の政区建置の変遷や人文・自然地理研究に欠かせない古代地理総志である一方、逸失した宋代以前の典籍を多数引用しており史料的・文献的な価値も極めて高い。
収載された政区沿革は周・秦・漢代より宋初に及び、とりわけ東晋・南北朝、五代十国の政区建置は他の志書に比して詳細で史籍の欠を補うものである。宋本《太平寰宇記》は明代には部分的に散逸、完全なものではなくなったが、この整理校点本では金陵書局本を底本に宋本・万廷蘭本や多くのテキストを参照して編纂、金陵書局本に欠けている113巻から118巻までの6巻は残宋本で補いより完全なものとした。
第九冊が索引巻。巻末に「樂氏祠堂本原跋」「太平寰宇記闕巻逸文」「宋史樂黄目傳」ほかを附す。縦組繁体字本(予告の際に「全5冊」とお知らせしましたが「全9冊」となりまして価格も上記に変更となりました)。

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