2013年4月17日水曜日

【最新刊】 『蔣介石研究 ―政治・戦争・日本―』~日・中・台の研究者による論文17本を収録


『蔣介石研究  政治 戦争 日本』
山田辰雄、松重充浩 編著  2013年04月  4,725円

近年、アメリカのスタンフォード大学フーバー研究所所蔵の「蔣介石日記」が公開され、蔣介石の側近たちによってまとめられた『蔣中正総統檔案事略稿本』の影印本が陸続と刊行されるなど、蔣介石関係資料の充実がみられる。一方で中国と台湾の政治的対立はある程度緩和し、中国・台湾の研究者たちも政治的な呪縛から解き放たれ、自由に、そして客観的に蔣介石を評価する環境が整ってきている。このような新たな研究環境のなかで、本書は、日本・中国・台湾の研究者により、それぞれの立場、さまざまな視角から論考した蔣介石研究論文を17篇収める。

■編著者のことば:
蔣介石の政治指導も党・国家の上からの指導、政治的安定の重視、地方自治を基礎にした経済社会建設などを特徴とする。それは国民党だけに限られず、20世紀中国の共産党や軍閥の政治にも共通する連続性として捉えることができ、現代の権威主義的支配にも通じる性格を持っている。したがって、台湾の民主化時期を含めて蔣介石を研究することは、将来の中国の政治的変容とも関連してくると考えられる。(「まえがき」より)

目次:
まえがき  山田辰雄
第一部  蔣介石と日本
 山田辰雄  蔣介石 記憶のなかの日本留学
 松重充浩  「北伐」期における『満洲日日新聞』紙上の蔣介石認識に関する覚書――「外地」日本人社会の蔣介石認識における一事例として
 家近亮子  蔣介石の1927年秋の日本訪問――「蔣介石日記」と日本の新聞報道による分析
 戸部良一  日本軍人の蔣介石観――陸軍支那通を中心として――
 川島  真  産経新聞『蔣介石秘録』の価値――「日記」の引用とオリジナルをめぐる再検討
第二部  蔣介石と政治
 横山宏章  中国革命における個人崇拝と蔣介石
 深町英夫  南昌行営争寵記――新生活運動の発動と蔣介石の派閥操縦――
 楊  天石  1946年政治協商会議後の憲法草案修改原則をめぐる論争(張  玉萍 訳)
 張  玉法  党総裁治国――李宗仁渡米後の蒋介石の党国運営――(望月暢子 訳)
 陳  紅民  胡適 蔣介石関係研究論綱(岩谷  將 訳)
 松田康博  中台関係(1958-1965)――「大陸反攻」対「応戦と統一戦線工作」――
第三部  蔣介石と戦争
 岩谷  將  蔣介石、共産党、日本軍――20世紀前半、中国国民党における情報組織の生成と展開――
 黄  自進  中日戦争の前奏:蒋介石と華北問題(1933-37)(山田辰雄 訳)
 段  瑞聡  太平洋戦争勃発前蔣介石の対外政略――1941年を中心に――
 鹿  錫俊  援中ルート閉鎖危機下の蔣介石――1940年夏における対独 対日政策の再選択を中心に――
 呂  芳上  「弾性」国際主義者蔣介石――1942年のインド訪問を検討事例として――(松重充浩 訳)
 王  建朗  抗戦時期国民政府の版図構想とその変化についての試論(石川誠人 訳)
おわりに  松重充浩
索引