2007年11月14日水曜日

~間違って中国に生まれ、道員として生涯を終えた男~


『馬建忠の中国近代』
  岡本隆司著 京都大学学術出版会 2007年11月刊 5,775円

馬建忠(1845~1900)は李鴻章の配下で列強との交渉に活躍した外交官であり、また欧州語文法を中国語に適用した初めての文法書「馬氏文通」を著した言語学者としての業績も知られる。そして洋務派に一員として、いち早く近代経済制度の導入を説きながらも、洋務企業を批判・民族商工業育成を主張して「富民説」を提唱した思想家・企業家でもあった。前著『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会2004)の中で、馬建忠の朝鮮紀行に触れた著者が正面から馬建忠の人間像にとりくむ。西洋と中国のはざまで揺れた男の悲劇的生涯から清末史を読み直した力作。馬建忠の外交官養成論・経済論等も訳出し収録する。

《 主 要 目 次 》
第Ⅰ部 フランス留学と在外公館
第一章 フランスへの留学
第二章 馬建忠の役割
第三章 在外公館に関する意見書
第四章 馬建忠と在外公館
第Ⅱ部 馬建忠と清末外交
第一章 李鴻章の幕下にて
第二章 「東行三録」
第三章 清末外交の転換
第Ⅲ部 馬建忠と清末経済
第一章 企業経営の時代
第二章 「富民説」(翻訳)
第三章 経済思想

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