2012年12月14日金曜日
『敦煌の民族と東西交流』~シルクロードの国際都市・敦煌 民族と文化の万華鏡
『敦煌の民族と東西交流/敦煌歴史文化絵巻 1』
柴剣虹 主編/栄新江 編著/高田時雄 監訳/西村陽子 訳
東方書店 発行/甘粛教育出版 共同出版 2012年12月 2,520円
本書は漢代から唐代までの敦煌を舞台に、月氏・匈奴・柔然・北魏・吐蕃・ウイグル・于闐・ソグト人など周辺国家・民族の興亡、兵士・僧侶・商人たちの往来を壮大なスケールで描き出す歴史文化絵巻。中国における敦煌学の第一人者が多数のカラー図版とともに一般読者に向けて書き下ろし、高い評価を受けた「走近敦煌叢書」の日本語版(全3巻シリーズを予定)。日中共同出版。
*原書:『華戎交匯―敦煌民族与中西交通/走近敦煌叢書』(甘粛教育出版社、2008年)
■編著者紹介
【主編】柴剣虹:中国敦煌吐鲁番学会副会長兼秘書長、敦煌研究院兼職研究員
【編著】栄新江:北京大学中国古代史研究中心主任・教授、中国敦煌吐魯番学会副会長『唐研究』主編
【監訳】高田時雄:京都大学人文科学研究所教授、敦煌学国際連絡委員会幹事長、中国敦煌吐魯番学会海外名誉理事
【訳者】西村陽子:国立情報学研究所コンテンツ科学研究系特任研究員
《 目 次 》
はじめに
一 月氏——古代敦煌の白人種
1.第三二三窟 「張騫通西域壁画」から
2.なぜ月氏人を探しに行ったのか?
3.張騫の「鑿空」と河西の帰属
4.敦煌の月氏人――古代中国の白人種
5.「禺氏辺山の玉」
二 玉門関と懸泉置――漢代の城堡と宿駅
1.四郡を列ね 両関に拠る
2.シルクロード
3.懸泉置と漢代の駅道
4.天馬と昇仙
5. 絹――敦煌を経由した東西物質文明の交流
6.華戎の交わる所、一大都会
三 仏教東漸――敦煌の仏教都市空間
1.大月氏人の浮図経口授
2.クシャン早期の「蔵経洞」――敦煌仏教のあけぼの
3. 「敦煌菩薩」竺法護
4.西天取経運動と莫高窟の開鑿
5.涼州様式
6.平城・洛陽から敦煌へ
7.隋唐の仏教都市と東西交通
四 ソグド商胡と敦煌の胡人聚落
1.ソグド古代書簡から
2.隊商と薩保
3.胡人聚落
4.祆神と祆祠
5.敦煌の市場とソグド商人の貿易ネットワーク
五 吐蕃の敦煌統治とチベット文化の貢献
1.「盟を尋ねて降る」と「他境に徙すなかれ」
2.曇昿から法成へ
3.禅宗のチベット伝来
4.飛鳥使と吐蕃時期の東西交通
六 帰義軍時期のシルクロード
1.沙州の張・曹両氏の帰義軍政権
2.悟真の長安行きと唐朝の仏法復興運動
3.敦煌寺院への外来供養
4.敦煌を行き来した求法僧
5.蔵経洞にみえる多元文化のいろどり
七 ウイグルと敦煌
1.西遷から建国まで
2.甘州ウイグルの建国
3.甘州ウイグルと瓜沙州曹氏
4.西州と敦煌のあいだの使者往来と変文講唱
八 于闐と沙州
1.大宝于闐国
2.敦煌の従徳太子
3.白玉・瑞像と仏典——モノと精神の交流
あとがき
図版一覧
参考文献