2009年5月20日水曜日

『改革歴程』~天安門事件から20年、中国共産党元総書記・趙紫陽の“遺言”

 
『改革歴程』
  趙紫陽 口述 鮑樸 編 新世紀出版社 2009年05月刊 4,032円

1989年の“六四”天安門事件で失脚した、中国共産党元総書記・趙紫陽(1919-2005)。本書は、趙紫陽が軟禁状態にあった晩年に、極秘裏に口述した記録を編集した回顧録。趙の秘書だった鮑彤らが中心となって、中国当局の監視の目ををかいくぐり、30時間にもおよぶ録音を4年の歳月をかけてまとめあげた。6月4日の軍隊投入に至る内幕とそれを決断した鄧小平・李鵬らへの批判、民主化運動弾圧に対する悔恨、議会制民主主義に対する憧憬など、これまで公表されることのなかった貴重な証言を数多く含む内容となっている。
鮑彤らは当局の出版妨害をおそれ、録音を童謡や京劇のテープのように偽装し、分散して保管していたという。今回の出版に当たっても、英語版(『Prisoner of the State(国家の捕囚)』)を先行して発売し、国際社会の認知を集めることで証言の実在を「既成事実」化させるという、出版者側の周到な戦略がうかがえる。実際、元中国共産党トップによる、かつてない体制批判の書として、香港では発売直後からベストセラーとなっており、欧米メディアの注目度もきわめて高い。

 『改革歴程』  『Prisoner of the State』(英文版表紙)

*今月発売されたばかりの注目の書籍を、緊急入荷いたします(初回分は6月上旬入荷予定)。ご予約承り中!また、英語版『Prisoner of the State』も近日入荷予定です。


【関連書籍情報】

『趙紫陽軟禁中的談話(修訂本)/ 開放叢書』
  宗鳳鳴 記述 開放出版社 2007年04月刊 3,087円
 *軟禁中の趙紫陽に、数十年来の友人である著者が「気功師」の立場で接触し、インタビューを重ねた記録。

『趙紫陽 中国共産党への遺言と「軟禁」15年余』
  宗鳳鳴 著 高岡正展 編訳 ビジネス社 2008年8月刊 5,000円
 *上記書籍の日本語訳。

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