2010年4月23日金曜日

『漢文スタイル』~『UP』誌の好評連載を単行本化

 
『漢文スタイル』
  齋藤希史著 羽鳥書店 2010年4月刊 2,730円

本書は、東京大学出版会『UP』誌上に三年間にわたって連載された「漢文ノート」を中心に、過去十年間著者が一般向けに書いてきた文章を集めたものである。古今日中の作家、思想家についてふんだんに言及されているだけでなく、著者の漢文への問題関心を知るにも、『漢文脈の近代』、『日本を意識する』、『漢文脈と近代日本』といった著者の研究成果を、エッセイというスタイルから見つめるにも、格好の一冊と言える。全22篇からなる珠玉のエッセイ集。

《主要目次》
Ⅰ 詩想の力
 1 隠者の読書、あるいは田園の宇宙
 2 自然を楽しむ詩
 3 詩人の運命
 4 詩讖――詩と予言
 5 天上の庭――「玄圃」
II 境域のことば
 1 北京八景――記憶された町
   密かな愛着
      第一景 芥川龍之介『支那游記』
   幸福な時間
      第二景 袁宏道「秋日同梅子馬方子公飲北安門」
      第三景 ○自珍「丙戌秋日独遊法源寺」
   胡同の神さま
      第四景 金受申『北京の伝説』
      第五景 奥野信太郎『随筆北京』
   町の音
      第六景 老舎『駱駝祥子』
      第七景 愛新覚羅溥儀『わが半生』
   ふたりの希望
      第八景 魯迅+許広平『両地書』
 2 訓読の自由
 3 「国語」以前
 4 思惟する主体
      漢文脈の核心/漢籍の素読/韓愈の文章/教養と主体
 5 旅人の自画像
      旅行記の時代/漢学者の中国紀行/新聞記者の耳目/志士の渡航記/
      志士から留学生へ/?外の誇りと懊悩/鏡の中の漱石/文化論の誘惑/街角の異邦人
III 漢文ノート
 1 下宿の娘
 2 詩のレッスン
 3 恋する皇帝
 4 緑陰読書
 5 風立ちぬ
 6 黄色い鶴
 7 花に嘯く
 8 不如帰
 9 窈窕たる淑女
 10 日下の唱和
 11 天朗気清
 12 赤壁の月
あとがき/初出一覧/人名索引

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