2010年2月4日木曜日

『チャイニーズネスとトランスナショナルアイデンティティ』~中国の周辺から見る“中国らしさ”とは

 
『チャイニーズネスとトランスナショナルアイデンティティ 日中社会学叢書2』
  永野武編著 明石書店 2010年1月刊 4,200円

「チャイニーズネス」とは「中国人らしさ」や「中国らしさ」を意味し、国名を冠した「~ネス」は「国民性」に相当する。本書は国民国家を支えてきた重要な要素であるネイション、ナショナルアイデンティティを「チャイニーズネス」に着目することによって、批判的にとらえなおすことを目的としている。この目的の手法として、中国で暮らしている「中国人」を主要な研究対象とはせず、むしろ周辺から迫ることによって「チャイニーズネス」をまさに浮き彫りにしようという戦略をとる。グローバル化のなかでの中国のエスニシティに関わる問題をまとめた一冊である。

《 目 次 》
はじめに
序章
第1部 歴史からの問い
 1章 戦後在日華僑社会の構成および変動と「老華僑」の組織・ネットワーク形成(永野武・過放)
 2章 ニューカマーズとオールドカマーズ 新旧華僑・華人の人間関係相互考察(永野武)
 3章 中国におけるエスニック・ネーションの起源 孫文はいかにして「民族主義者」になったか(穐山新)
第2部 トランスナショナルなアイデンティティ
 4章 「中国帰国者」の歴史/社会的形成 国民、エスニシティ、コミュニティ(南誠)
 5章 滞日中国人による永続的「ソジョナー」アイデンティティの形成 トランスナショナルな移動者としての中国人留学生(坪谷美欧子)
 6章 石垣島の台湾人 現代に残響する植民地化の双方向的移動(野入直美)
第3部 社会の多元性
 7章 中国移行経済における独裁的企業運営の採用 組織環境、人的資本、文化大革命中の国内移住経験が及ぼす影響(Eric Fong,Xinshan Cao,HanYue Ngo)
 8章 台湾における多文化社会の展開と「新移民」問題(金戸幸子)
 結章 (永野武)

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