2012年4月16日月曜日

『上海モダニズム』~中国にとって「モダニズム」はいかなる経験であったか?

 
『上海モダニズム』
  鈴木将久 中国文庫(東方書店 発売) 2012年04月 4,200円

近代中国において、「西洋」は侵略者であり、同時に変革のために学ばなければならない存在であった。本書は、そのような状況をふまえ、上海におけるモダニズムの視点から「中国モダニズム文学」史を読み直している。

《 目 次 》
 はじめに
 序章 問題としての上海モダニズム
   上海のモダニズム/中国新感覚派と左翼文芸思想/戦争という試練/「漢奸」の問題
【第一部 上海モダニズムの興起】
 第一章 都市上海を語ること――茅盾『子夜』テクストの布置
   上海を描く小説/コミュニケーションの危機/視線の機能/電話を通じたコミュニケーションの空間/構築としての「読み」/都市を表現すること
 第二章 可能性としての言語――瞿秋白の言語理論
   瞿秋白の位置/理想的な「話」の構想/茅盾の現状認識/「文」の機能転換/コミュニケーションのユートピア
 第三章 流通するイメージ――穆時英の小説的実験
   『現代』の創刊/身体の変容/映像的意味生産の実験/記憶のポリティクス/穆時英の波紋
【第二部 上海モダニズムの試練】
 第四章 詩は抗戦を表現できるか――戴望舒の模索
   戴望舒をどう見るか/「詩情」の「組織」/戦争と詩/香港からの声/翻訳という試金石
 第五章 戦時下において詩はどこにあるか――路易士の詩的活動
   日本占領下上海の詩人/日常性の抒情/純粋な詩/周囲との闘争/仲間との語らい/路易士の位置
 第六章 文のかなたに何が見えるか――穆時英の選択
   上海モダニズムの政治性/現実との関わり/血の記憶/「漢奸」という選択/穆時英の問いかけ
 第七章 「対日文化協力者」の声――陶晶孫の屈折
   陶晶孫と「漢奸」の問題/陶晶孫における三〇年代上海/日中戦争中の活動/陶晶孫のテクスト戦略/『日本への遺書』
 終章 中国モダニズムの行方
   日中戦争とモダニズム/毛沢東の回答/上海モダニストのその後
 あとがき
 索引
 初出一覧

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