毛里和子、松戸庸子 編著 東方書店 7月5日発売予定 3,150円
経済成長を続ける中国では、リストラ・強制立ち退き・農地収用などさまざまな社会問題が生じ、その不満は各政府機関への陳情という形で表われている。その数は年間に全国で1,000万件もあるといわれる。陳情そのものは合法的に認められ行為であるにもかかわらず、陳情者と各政府機関との間でのトラブルが頻発している。いったい、中国における陳情とは何か、何が原因でトラブルが生じるのか、今後、陳情は中国社会にどのような影響を与えるのか。本書は、政治学・社会学・法学の専門家がそれぞれの立間から陳情の実態を分析・解説することにより、中国の政治体制や社会構造の特徴の一端を明らかにするものである。
《 目 次 》
構成
口絵
失地農民の陳情代表達/包公像に跪いて陳情文を読み上げる女性/地方政治の腐敗を訴え続ける“亡命”村長夫妻/あて先のない伸冤状
まえがき(毛里和子)
プロローグ:陳情をめぐって
北京の「陳情村」/陳情狩りを代行する民間警備会社/西安市の工場従業員による陳情のケース/土地収用をめぐる陳情から労働矯正まで/陳情フローチャート
序章 陳情政治―圧力型政治体系論から (毛里和子)
第1章 陳情制度改革と憲政の建設―「陳情条例」改正をめぐる論争 (于建嶸/松戸庸子訳)
第2章 中国陳情制度の運用メカニズムとその変容 (応星/松戸庸子訳)
第3章 政治的権利論からみた陳情 (石塚迅)
第4章 陳情への法的視点―制度の沿革及び規定上の問題点 (伹見亮)
第5章 労使紛争からみた陳情 (御手洗大輔)
第6章 陳情制度をめぐる権利擁護と安定維持の力学 (呉茂松)
第7章 退役軍人による陳情 (弓野正宏)
第8章 陳情制度のパラドクスと政治社会学的意味 (松戸庸子)
2005年制定「陳情条例」 (日本語訳:御手洗大輔)
索引
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