2014年4月3日木曜日

東方書店・春の新刊(5)~『中国地名カタカナ表記の研究 教科書・地図帳・そして国語審議会』

 
http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497214027&bookType=jp
『中国地名カタカナ表記の研究 教科書・地図帳・そして国語審議会』
  明木茂夫 2014年03月 4,320円[8%税込]

ター運河、チョンツー、シェンヤン、コイリン、タイ山、チュー川……。カタカナ表記になった中国地名はちょっとヘン!?

近年の教科書や教師用指導書、受験参考書の表記を調べ始めたら、カタカナ表記の「おかしさ」にすっかりはまってしまい、教科書図書館で歴代各社の教科書や地図帳を見比べる日々へ。調査はさらに国語審議会や文部省の関連資料、地名表記に関する戦前の運動などにまで拡大していく。中国地名のこのカタカナ表記は一体いつ、誰が、何のために始めたものなのだろうか。本書は、現時点での中間報告である。
下記の附論・附録を収録する。

日本人が日本語風に「スーチョワン」と読んだところで、西洋語の中で「Sichuan」と書かれ、かつ西洋語の読み癖で読まれるその地名がどこのことであるかは、どのみち理解はできないのである。この問題は、戦前外国と直接交流する立場にあった人たちには既に認識されていた。そしてその状況は今も変わっていない。グローバル化が叫ばれる今日、外国語の中に出て来る中国固有名詞をそれぞれの言語に於いてどう共通認識するか、これがカタカナ化された中国地名が今も我々に投げかける問題なのであり、また本来メインとはなり得ないカタカナ表記をいかに補助的に活用するかということにも繋がる問題なのである。――「第3章 戦前の文献を巡って」より

【 目 次 】
第一章 教科書・地図帳・指導書の中国地名表記
 一、学校地図帳の中国地名カタカナ表記
 二、地図帳の中国語音節カタカナ表記の特徴
 三、地図帳の中国地名表記の特徴
 四、役に立たない索引
 五、万里長城・大運河・黄河・長江の表記を巡って
 六、地理教科書や教員用指導書の中国地名表記
 七、音楽の教科書
 八、参考書・問題集・試験問題
 九、公務員採用試験について
 一〇、学生の証言
第二章 国語審議会と文部省の文献
 一、中国地名カタカナ表記の根拠となる各種文献
 二、文部省と国語審議会による昭和二十~三十年代の文献
 三、国語審議会と主査委員会の議事録について
 四、教科書出版社による小冊子
 五、教科書研究センターによる地名表記の手引き
第三章 戦前の文献を巡って
 一、戦前の教科書と地図帳
 二、戦前のカナモジ運動とローマ字運動
 三、実用主義的な中国地名カタカナ表記
第四章 現代のカタカナ表記を巡る問題
 一、現代の中国語カタカナ表記を巡って
 二、中国固有名詞カタカナ表記の基礎にあるもの
 三、中国固有名詞カタカナ表記の今後
補論 韓国語とタイ語の中国地名表記を巡って
 中国固有名詞の中国語音に対するハングル表記について  [水野俊平]
 タイ語における東アジア地名表記の変遷  [加納寛]

付録 地図帳中国地名カタカナ表記・ローマ字表記一覧
(折込)中国語音節表記ガイドライン(制作:池田巧)