2009年8月25日火曜日

『廃都』~現代版『紅楼夢』or『金瓶梅』、16年ぶりに解禁!

 
『廃都』
  賈平凹 作家出版社 2009年7月刊 2,866円

『廃都』は現代作家・賈平凹の代表作の一つ。古都・西安をモデルにした「西京」を舞台に、何人もの女性と不倫を重ねる主人公や権力に取り入る画家など、文化人たちの退廃的な暮らしと80年代の社会風俗を重ね合わせて描く。
1993年の発表当時、大胆な性描写が論議を呼び、発売後わずか1カ月で100万部を売り上げるも、ほどなく発禁処分となった。だがその後も海賊版が広く出回り、その数は1000万部を超えるとも言われる。英語・フランス語・ロシア語・日本語など各国語にも翻訳され、1997年度のフランス・フェミナ賞を受賞するなど、海外でも高い評価を受けた。2009年に死去した“国学大師”季羡林氏も生前、「『廃都』は20年後に光り輝くであろう」と、高い評価を与えていた。
今回の新版では、性描写に関する自主規制については、旧版とほぼ同じレベルと目されているが、発禁となっていた作品が再び日の目を見るようになったという点で、中国社会の開放・成熟を象徴するものと言える。
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