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■ミニ・シンポジウム 近現代の歴史をめぐる「事実」と記憶‐ハルビンを事例として
アメリカの覇権の絶対性が揺らぎつつある中、世界の諸地域では国家間の懸案解決が当事者同士の緊張をはらみやすい状況が生まれ、それと連動する形で、ある国家内において、周辺の地域や国家との関係を考える上で、歴史認識論争が生じやすい状況も生まれている。
そもそも、近代国家は、歴史教育、国語教育、国家的イベント、国旗や国歌などの表象などを手段として領域内の住民に国民意識を植え付けることによって国家を維持発展させようとし、それがともすれば国家間や地域における紛争発生の背景となってきた。
そこで考えなければならないのは、しばしば起こる、実証的な歴史研究の成果(「事実」)と、歴史についての集団的記憶との齟齬という問題である。歴史に関する集団的記憶の中でも、歴史についての記憶の操作による自国・自集団の卓越性認識が、国家あるいは政治勢力の暴走の背景をなすことが少なくないことを考えれば、こうした齟齬をいかに認識し、いかに対応すべきかは、人類社会にとって重要な問題である。
この問題を考える上で、地理的歴史的に日本・中国・ロシアが交錯する都市であり、建築や文学など多様な表象文化にも刺激を与えてきたハルビンは格好の事例となる。
そこで本ミニ・シンポジウムでは、ハルビンを事例に、歴史学・文学・文化・現代思想など、さまざまな視点から「「事実」と記憶」の問題について考察を深めたい。
▼日時:12月10日(土) 13:00-17:00
▼会場:日本大学文理学部3504教室(3号館5階)
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
京王線・下高井戸駅あるいは桜上水駅下車、徒歩8分
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access_map.html
▼参加費不要、事前予約不要
▼お問い合わせ先:
日本大学文理学部史学科 古川隆久(史学科事務室 TEL:03-5317-9703)
▼主催:日本大学文理学部人文科学研究所総合研究「近現代の歴史をめぐる「事実」と記憶」(研究代表者 古川隆久)
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「東アジアにおける都市形成プロセスの統合的把握とそのデジタル化をめぐる研究」(研究代表者 加藤直人)
▼プログラム:
報告1:松重充浩 氏(日本大学文理学部教授 中国近現代史)
「満洲事変前ハルビンにおける中国側諸施策‐中国側『記憶』の生成過程の実相」
報告2:橋本雄一 氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授 中国近現代文学)
「植民地都市が宿す記憶の地層 ―ハルビンをめぐる中国側のナラティヴ―」
< 休 憩 >
報告1に対するコメント:土屋好古 氏(日本大学文理学部教授 ロシア近代史)
報告2に対するコメント:初見 基 氏(日本大学文理学部教授 ドイツ文学)
*司会:古川隆久(日本大学文理学部教授 日本近現代史)
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