工藤元男 東方書店 2011年12月 2,100円
巫風豊かな楚地に生まれ、秦漢帝国を媒介として各地に伝播し、解体していった中国古代の占卜(占い)文化。主に近年出土し注目される占卜書「日書」を読み解きながら、古代の人々の生活と社会の実態を明らかにする。
目次:
凡例
プロローグ
第一章 長安東市の日者
一、宋忠・賈誼、司馬季主に論破される
二、子弾庫楚帛書の宇宙観
三、郭店楚簡「太一生水」の宇宙観
四、日者の世界
墨子と日者/日者の日常の生業/「日者」の変容/視日・質日と日者
第二章 「日書」の発見
一、戦国時代の「日書」
睡虎地秦簡の発見/江陵王家台秦簡「日書」/九店楚簡「日書」/放馬灘秦簡「日書」
二、秦代の「日書」
周家台秦簡「日書」/江陵岳山秦墓木牘「日書」
三、漢代の「日書」
香港中文大学文物館蔵漢簡「日書」/張家山二四九号漢墓「日書」、同一二七(三二七)号漢墓竹簡「日書」/阜陽双古堆漢簡「日書」/沅陵虎渓山漢簡「日書」/睡虎地漢簡「日書」/荊州印台漢簡「日書」/随州孔家坡漢簡「日書」/西安杜陵漢代木牘「日書」/北京大学収蔵前漢竹書「日書」/定県漢簡「日書」/敦煌懸泉漢簡「日書」/水泉子漢簡「日書」/その他の「日書」
四、日者、日者列伝、「日書」の関係
第三章 国家と占卜
一、秦国と占卜
遷都と卜居/焚書坑儒事件と書籍
「秦記」 占夢書 医薬の書 卜筮の書 種樹の書
二、前漢文帝と亀卜
呂氏一族の粛正/文帝の即位と亀卜
三、前漢武帝と占卜
武帝時代の太卜/武帝と嫁娶日の占卜
四、王莽・曹丕の禅譲劇と建除
附 孔府と建除
第四章 官吏と出張と占卜
一、「元延二年日記」簡介
二、師饒の出張と宿泊
三、師饒の出張と占卜
「神亀占」篇/「六甲占雨」篇/「博局占」篇/「刑徳行時」篇/「刑徳行時」篇と「日書」/「行道吉凶」篇/崔浩の三陰論/「行道吉凶」篇と「日書」
三、羽山行
四、「暦譜」、「視日」、「質日」
第五章 行旅と占卜
一、文献史料にみえる漢代の行神と祖道
行神・祖神・道神/祖道/軷壇の復原/劉邦伝説と尹湾簡牘「贈銭名籍」
二、「日書」における先秦時代の行神と祖道
行祠と軷壇/出行日の選択
方位との関係 時制(十二時制・十六時制・十八時制・二十八時制)
出行の吉日と時刻/祖道における禁忌/禹歩/帰家の択日と儀礼
三、反論の検証
五行・五祀との関係/検証(1)/禹歩との関係/検証(2)
第六章 「卜筮祭祷簡」と貞人・貞卜
一、楚地の巫風
二、包山楚簡「卜筮祭祷簡」
三、歳貞と疾病貞
四、包山楚簡からみた楚国の封君と世族の動向
五、秦国・楚国における路線の岐路―律令をめぐって―
附 宜昌の国際シンポジウム
第七章 「卜筮祭祷簡」から「日書」へ
一、「卜筮祭祷簡」の疾病貞と「日書」の卜疾病
二、九店楚簡「告武夷」篇と「日書」
三、最古の「卜筮祭祷簡」―平夜君成墓楚簡―
第八章 移風易俗と法
一、法治と移風易俗
移風易俗の思想/秦の六国統一と移風易俗
二、睡虎地秦簡からみた法と習俗
「語書」よりみた法と習俗/商鞅変法における法と習俗/「日書」の「歳」篇にみえる秦暦と楚暦/秦簡田律に反映された地域性/張家山漢簡「二年律令」田律からの検証/「月令詔条」からの検証/「二年律令」置吏律からの検証
三、秦漢田律と「日書」
土功の吉凶に対する関心/青川木牘「為田律」と除道の忌日
エピローグ
注
あとがき
図引用一覧
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