2011年1月27日木曜日

『東アジアの陽明学 接触・流通・変容』~日中韓における陽明学の交流を論述

 
『東アジアの陽明学 接触・流通・変容/学習院大学東洋文化研究叢書』
  馬淵昌也 編著 東方書店 2011年01月 5,460円

国際シンポジウム「東アジアの陽明学」および学習院大学東洋文化研究所で実施された「陽明学の現在」プロジェクトの成果を収めた論文集。本書では、「最高の本物」(中国)と「それより劣るもの」(周辺地域)のような二分法にとらわれず、「脱中心化」された視点から、日中韓それぞれの陽明学が持つ多面的な側面を描き出す。

[編著者のことば]
一方的に中国という中心から「文化産品」が水の流れのように外の地域へ流れ出た「結果」として、その文化交流のあり方を見るべきではない(略)それぞれの供給・受容の場において(略)そのコンテクストの中での各主体の意図的・選択的、或いは戦略的選択として起こったものであった、と考えて、…その実態を明らかにしてゆくべきだ…(「はじめに」より)

[ 目 次 ]
 はじめに(馬淵昌也)
 第一部 シンポジウム論文集
  一.「地域史としての東アジア交流史―問題意識と研究テーマ―」 黄俊傑(藤井倫明訳)
  二.「『一段の深情在る有り』―中江藤樹『論語郷党啓蒙翼伝』における孔子」 陳昭瑛(大場一央訳)
  三.「朝鮮陽明学の特質について」 中純夫
  四.「朝鮮陽明学派の形成と展開」 辛炫承(大多和朋子訳)
  五.「一六世紀中韓使節の陽明学にかんする論争とその意義:許篈と袁黄を中心に」 張崑將(阿部亘訳)
  六.「李卓吾と朝鮮儒学」 李昤昊(李正勲訳)
  七.「十八~十九世紀朝鮮性理学の心学化傾向についての考察」 崔英辰(辻正範訳)
  八.「李士実及び宸濠反乱の故事」 楊儒賓(倉嶋真美訳)
  九.「陽明学と明代中後期における三教論の展開」 蔡振豊(松野敏之訳)
  十.「中日陽明学の交流と非交流について」 永冨青地
 第二部 プロジェクト論文集
  十一.「天津図書館所蔵『鄒東廓先生文選』について」 永冨青地
  十二.「李贄『九正易因』について」 三澤三知夫
  十三.「周汝登と功過格と」 渡邊賢
  十四.「明代後半期儒学思想における“恕”概念の位置初探」 馬淵昌也
 おわりに(馬淵昌也)



■好評既刊!「学習院大学東洋文化研究叢書」シリーズ


 『東アジア海をめぐる交流の歴史的展開』
   鐘江宏之、鶴間和幸 編著 2010年12月 4,200円
 『沸騰する中国の教育改革』 【品切】
   諏訪哲郎、王智新、斉藤利彦 編著 2008年12月 3,360円
 『中国における「近代知」の生成』
   高柳信夫 編著 2007年12月 4,200円
 『黄河下流域の歴史と環境 東アジア海文明への道』
   鶴間和幸 著 2007年02月 4,200円
 『加速化するアジアの教育改革』 【品切】
   諏訪哲郎、斉藤利彦 編著 2005年09月 3,780円

0 件のコメント: