2011年3月17日木曜日

『中国・台湾における日本像 映画・教科書・翻訳が伝える日本』~メディアの日本像から現代中国を読む

  
『中国・台湾における日本像 映画・教科書・翻訳が伝える日本』
  弓削俊洋 編著 東方書店 2011年03月 2,310円

 現代中国・台湾の映画・教科書・翻訳作品など、日本情報を伝達する種々のメディアに映し出される日本・日本人像を明らかにする。“反日”“親日”にとどまらない複雑な対日イメージが生み出される背景を探ると、中国・台湾の内政問題や日中関係の軋轢、中国人の価値観の変化も見えてくる。歴史教科書における南京事件の記述、日本語教科書に描かれた日本人、戦前・戦後の抗日映画やカンフー映画、大ヒットを記録した『海角七号』をはじめとする台湾映画、村上春樹作品の翻訳まで、多様な題材を用いて、日本という“合わせ鏡”に映し出された現代中国・台湾の実情に光を当てる。

《 目 次 》
序言 (弓削俊洋)
第1章 鏡合わせの中国人と日本人――中国映画[スクリーン]に投影される日中両国 (好並晶)
 はじめに
 1.見えざるものから顕在化するものへ――戦前戦後の中国映画に描かれた“日本・日本人”
 2.改革開放と共に――高倉健・張芸謀・残留孤児
 3.功夫[カンフー]映画に反映される“日本人”の鏡像
 おわりにかえて――互いの“いま”の姿を捉えようと試みる現代
第2章 愛憎を繋ぐ虹の架け橋――台湾映像作品にみる日本と台湾人 (宮田さつき)
 1.台湾映像作品中の“善良な日本人”
 2.日台の希望を繋ぐ虹の橋――『海角七号』
 3.誇り高き魂の家へ続く虹の橋――『セデックバレ』
 おわりに
第3章 「大虐殺」という“記憶の証明”――歴史教科書における南京事件 (弓削俊洋)
 はじめに
 1.教科書【1986】における南京事件――「血なまぐさい大虐殺」の再現
 2.教科書【1995】と南京事件――多様な“罪業”の中に埋没する事件
 3.教科書【2006】における南京事件――集中特化による事件の強調
 おわりに
第4章 新たな日本像への胎動――日本語教科書における日本 (伊月知子)
 1.日本語学科の学生に芽生えた新しい“日本人イメージ”
 2.中国における日本語ブームと日本語学習の動機
 3.日本語教科書における日本・日本人像――歴史教科書との差異
 おわりに
第5章 中国における「村上熱」――ブームの背景と林少華の翻訳について (園山延枝)
 はじめに
 1.中国における「村上熱」――日本文学最大のブーム
 2.「村上熱」の原因――中国人にとっての魅力
 3.林少華の訳文――美しき中国語の「厚化粧」
 おわりに
あとがき (伊月知子)
索引

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