2009年2月26日木曜日

『廃名集』~作家「廃名」と学者「馮文炳」の文章を全面的に整理・網羅~

 
『廃名集(全6巻)』
  王風編 北京大学出版社 2009年1月刊 17,325円

廃名(1901~1967・本名馮文炳)は、特異な表現手法で多くの詩歌や小説を創作したことで知られる、現代中国を代表する作家の一人。沈従文・汪曾棋・何其芳らにも影響を与えた。
本書は全6巻構成。第一・二集では短編小説・長編小説、第三集は散文・新詩、第四集 詩論・佛論・解放後古典文学研究、第五集 魯迅研究、第六集 新民歌研究与創作・漢語研究・美学・附録など。約三分の一にあたる文章が新発表のもの。上編にあたる第一~三集は1922~1948年の作家「廃名」としての創作を収める。下編にあたる第四~六集は1949~1964年の学者「馮文炳」の著述を収録した。発表年代順にしており、底本は初版本を原則とし全て活字本に拠った。各作品に「題注」を施すほか、その作品の底本と通行版本・参校本を記し、創作年代が不明確なものには考証を加えるなどの言が附されている。本書の校勘は12年もの歳月をかけて行われ、校勘者自身が個人所有する版本も用い製作された。
廃名は「選集」にあたるものが過去に出版されているが、代表作が収録されているのみで、著作を網羅し全面的に整理なされたものは本書が初めてとなる。

0 件のコメント: