2010年3月25日木曜日

『共存と不和 南シナ海における領有権をめぐる紛争の分析、1902-1952年』~南海諸島領有権紛争の歴史を解き明かす

 
『共存と不和 南シナ海における領有権をめぐる紛争の分析、1902-1952年』
  ウリセス・グラナドス・キロス著 松籟社 2010年2月 5,775円

南シナ海は、中国、日本、イギリス、フランス、アメリカなどの諸国によって、領有権が争われてきた地域である。その領土紛争をめぐる研究は20世紀初頭に始まり今日まで続いており、それによって各国における南シナ海の「歴史」が構築されてきた。本書は、1920年から1952年に至る領有権争いを分析・批判することで、新たな歴史像を構築しようとするものである。従来の研究において重視されてきた地政的・法律的な要素によっては、紛争の起源や一連の事件を十分に説明できないと考える著者は、南シナ海域の人々の移動、貿易など、海域の歴史に影響を与えきた社会的・経済的な諸要素に重点を置いている。各国の政治と、海域に暮らす人々の生活という、両者間の緊張関係を解明する本書は、歴史的分析に社会的・経済的な諸要素をつけ加えた著作と言える。 【在庫有】

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