2010年3月15日月曜日

『京劇俳優の二十世紀』~時代に翻弄された京劇役者たちの人生

 
『京劇俳優の二十世紀』
  章詒和 著/平林宣和、森平崇文、波多野真矢、赤木夏子 訳 青弓社 2010年3月 3,150円

激動の近・現代中国を生きた8人の京劇俳優たちのライフストーリーに、同じく時代に翻弄された著者の肉声を重ね合わせ、20世紀の京劇をめぐる情勢、文化大革命などの政治状況に巻き込まれた俳優たちの苦悩と表現への欲望などを丹念に描き出す。原著『伶人往事:写給不看戯的人看』も中・台・港で刊行されて好評を博したが、大陸では現在発禁扱いとなっている。

《 目 次 》
日本語版序
増訂版序 世の流れか、文学の風か、それとも私の運命か――私と『伶人往事』
附録:私の声明と態度
自序
大河ことごとく流れ去り、余情なおめぐる――尚小雲往事
萌える緑も枯葉もよし――言慧珠往事
知るや否や、まさに緑肥え紅痩せたるを――楊宝忠往事
未練、風雅の四十年――葉盛蘭往事
梨園の一葉――葉盛長往事
一筋の糸が消え、そこに香りだけが残る――奚嘯伯往事
一陣の風、千古の絶唱を吹き留める――馬連良往事
霧雨も芳草も持ち去り、春は過ぎゆく――程硯秋往事
用語解説
訳者あとがき

【著者紹介】
章 詒和(ショウ イワ):1942年、四川省重慶生まれ。安徽省桐城(現在の樅陽県)の出身。父は57年に右派とされ迫害された章伯鈞(元中国民主同盟幹部、全国政治協商会議副主席)。北京師範大学付属女子高校・中国戯曲研究院戯曲文学科卒、63年より四川省川劇院芸術室に勤務。68年から78年まで「現行反革命罪」により懲役20年の判決を下され服役。78年から79年にかけて、無罪が認められ釈放、名誉回復する。その後、四川省文化庁演目室に勤務。79年から中国芸術研究院戯曲研究所に勤務、助手、副研究員、研究員、修士・博士指導教官を歴任。2002年に退職、現在は著述に従事。著書に『往事並不如煙』『伶人往事』があるが、ともに発禁処分を受けた。日本語訳に『嵐を生きた中国知識人』(集広舎)がある。

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