2009年12月16日水曜日

新着書より~『現代中国の人口移動とジェンダー』

 
『現代中国の人口移動とジェンダー 農村出稼ぎ女性に関する実証研究』
  陸小媛編 日本僑報社 2009年12月刊 6,090円

現代中国の人口移動研究においては、労働力移動の観点から男性や世帯主だけを対象としたものに重点が置かれ、経済のグローバリゼーションと改革開放経済下における大量の女性出稼ぎ移動に関する研究はきわめて少ない状況にあった。本研究の特徴は、人口移動研究に対して、ジェンダーの視点を前提に、社会学、人口学、経済学、人類学の研究手法を用いて、総合的かつミクロ的に、人口移動におけるジェンダー構造を究明した点にある。
筆者は広東省の珠江デルタ地域の出稼ぎ女性を対象にした調査結果から、農村出稼ぎ女性の意識が過重労働や低賃金などの劣悪な労働環境にも関わらず働き続けることによって不十分ながらも経済的自立を達成し変化を経験していくことを明らかにした。ここで提示する経済的グローバル化と労働力の女性化およびそれに付随する諸問題は、現代中国に限らず世界各地で現在進行しているのものとして捉えることを提言している。

《 目 次 》
序章
第Ⅰ部 移動とジェンダー
 第一章 人口移動の理論とアプローチ
 第二章 女性移動に関する理論とアプローチ
 第三章 中国の人口移動と女性移動の増加
第Ⅱ部 農村女性の出稼ぎ労働移動
 第四章 中国の人口移動における出稼ぎ移動の実態
 第五章 広東の人口移動における出稼ぎ移動の実態
 第六章 出稼ぎ女性のおかれた環境に対する分析
 第七章 人口移動におけるジェンダー問題の再認識

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